酒井隆司 生活の道具

良質の労働が良質の社会を形成する。信州松本で家具と生活用具を作っています。

自然美と人工美、そのどちらにも属さないもの


何だか長くて変なタイトルですが写真は仕事場に現れた野良のじゃずです。
今日で一ヶ月経ちました。
まだこの時は痩せて貧相で病気も持っています。


ここは山の中なのでいろんな動物を見かけます。
野鳥、リス、ウサギ、鹿、猪、狸、ムジナ、等々。
概ね自然界の中で生息している野生動物は環境が良好であれば
体つきもよく、美しいです。
そして体の抵抗力もペットや家畜に比べれば強いのではないでしょうか。
そう自然界に生きているものは逞しいです。


話は一転。昔インドへ旅行した時、地名は忘れましたが森の中のちょっとした集落?と言える規模
だったのかも覚えていませんがイメージとしては藁で作ったような原始的な(?)家々があり
そこに暮らす人たちも見かけました。
それまではインドへ来て路上生活者やカーストからも外れた人たちを多く見てました。
汚れていてそれこそ病気も抱えていたりと当然、美しくはないです。
でもその森の場所はあれ?何か違うと感じました。
どこか整然としてきれいだとな。
それはちょっとした発見でした。
貧しさと言えばいいんでしょうか、そこに大きな違いはないはずなのに。




あるいは南米の奥地だったりまたは他の場所で文明化されていない土地、世界、暮らしを
紹介している写真などを見かけることがありますが
男も女も上半身裸でペインティングしたり鳥の羽根などで着飾ったりしています。
こういう人たちも先に書いたように自然界の中で融け込んで生きていて
鳥や動物、昆虫、植物と同じく逞しく美しいです。
少なくとも、いわゆるあぶれた人たちとは異なりますよね。


じゃずを見て昔インドで見た一風景を思い出したのです。
人間は人工という名のいろいろな衣服を身につけていて
でももし、その環境が断たれてしまえば、いくらきれいに着飾っていても
そのうち服はぼろぼろ髪はぼさぼさ、爪は伸びて肌も垢まみれ・・・
人工美から遠ざかって同時に自然美にも遥かに隔たりがある・・・


猫でもなんでも人間の作り出す環境の中で大切にされれば、もちろん事故や病気はありますが
美しく、清潔、快適、満腹、安全、安眠・・・
でも完全に自然と同化できない、人間に飼われてもいない
そのどちらでもない環境に生きているものは生きていかなければいけないものは
なんと言葉で表現すればいいんでしょう。



とはいえ最初の頃と比べると体重も増えてるようで丸々とはしてきました。
舌もただれていたり歯も全部はなかったり多分そのためなのか
うまく声が出せていないです。
それでも1日に数回こちらの呼びかけに応えてくれます。
口をぎこちなく動かしながら、ほとんど聞こえない掠れた声で。


ブルースの時にお世話になった先生の話ではダメかもしれないとのことです。
抗生物質も耐性菌になれば効かなくなり
そもそもウィルスには抗生薬は効かないようです。


警戒心は依然、解かずゆっくり近づいて写真を撮れるときもありますが
なんとか冬になる前に家に来てくれるといいんですがね・・・





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