酒井隆司 生活の道具

良質の労働が良質の社会を形成する。信州松本で家具と生活用具を作っています。

終末のフールオンザヒルズタウン?/伊坂幸太郎 その2

さて終末のフール。これがこの短編集のタイトルで最初の話。
これ以降の何々ールというのは読めばわかります。
でもこの終末のフールだけはフールと云う言葉は出てきません。確か・・・
つまり気付かなければ意味がわからないと思います。
この物語はある中年夫婦と子供達の話です。
レンタルビデオ店で若い店主(一番最後の深海のポールの主人公)とこの夫婦の会話のシーンで
店主の父親が住んでいるマンションの屋上に櫓を立て終末を見届けるという一節がでてきます。
そこで僕はビートルズのフールオンザヒルが頭に浮かびました。
終末のフールのフールは多分これです。
で最後の深海のポール?まさか・・・
読んでみるとこれはつまり大洪水でマンションも海に沈んで行くその時の櫓を海に浮かぶ
支柱、ポールに見たてている訳です。
ちょっと苦しいですよね。櫓がポール?
これは伊坂幸太郎の遊び心というか
ビートルズで始まってビートルズで終わりたかったんでしょう。
それで最後を読んで気付いたのが。あっ!そういえばこのマンションの名前
ヒルズタウンでした! 終末のフール オンザヒル ズタウン
つまり読者には終末のフールに続く言葉が見えません。
大洪水で櫓のポールしか見えていないという仕掛けなんでしょう。


因みに今上映されている伊坂幸太郎ゴールデンスランバー、曲も大好きですが
こちらは原作の中でアビイロードの話、ちゃんとが出ていましたね。