酒井隆司 生活の道具

良質の労働が良質の社会を形成する。信州松本で家具と生活用具を作っています。

指し手の顔 首藤瓜於


江戸川乱歩賞受賞作『脳男』は9年前、首藤瓜於のデビュー作。
その続編。一昨年出てたんですね。
早速、図書館で借りて上巻、もう一度『脳男』、下巻と一気に読んでしまいました。
賛否両論あるようですが僕は断然面白かったです。
主人公の鈴木一郎は生まれながらにしていわゆる知的障害者自閉症で無痛症、サヴァン症候群
パーソナリティーの欠如。書物のページをめくっていくだけですべて暗記する・・・
ただ祖父の摺り込みで凶悪犯に対して殺人マシンと化してしまった。
物語は凶悪犯とそれを追う刑事、精神科医、そして鈴木一郎が絡み合って展開して行きます。
精神科医の鷲谷真梨子は事件のショックで声がでなくなります。
心の中で鈴木一郎に向かって、たったいまこの瞬間からあなたとわたしは敵同士になった。
と最後に締めくくられます。
エンターテイメント小説としても楽しめましたが背景にあるものも興味が惹かれます。
作者は鈴木一郎をどうするんでしょう・・・
蛇足ながら登場人物の名前がかなり変わっています。
鈴木一郎。これは普通ですが同姓同名の人いますね。字はちょっと違いますが
下巻を読んでて気付きました。