酒井隆司 生活の道具

良質の労働が良質の社会を形成する。信州松本で家具と生活用具を作っています。

旅の終わりの音楽/エリック・フォスネス・ハンセン


映画『タイタニック』はもうずいぶん前に観ましたが印象に残っているのは
最期まで演奏を続けていた楽団員たちのシーンです。


先日、図書館で何気なく手にしたこの本、何とその楽団員たちの物語。
手にとってそれを知った時はちょっと不思議な感じがしました。
もちろんそんな物語を求めていたわけではないですけどね。


とはいうものの実際の楽団員は8名。この本に登場するのは7名。作者の創作です。
それでも読みたくなり借りて来ました。
このうちの5人の物語が大半を占めています。


中でも最初に語られるバンドリーダーのジェイソンの物語。
医者で科学を信奉する父親。天体観測をしながら息子に語る・・・もう忘れてしまいましたが
要するに物理の言葉で説明しているわけです。
それを聞いたジェイソンが歌を聴いているようだと。う〜ん何ともエレガントな一節。
あと惑星の軌道、ケプラーの法則、そこと関係してたか、これも忘れてしまいましたが
古代の人たちがそこに音楽を見出す・・・云々。


それと最後に語られるコントラバス奏者、ペトロニウスの話も面白かったです。
そして、もちろん最初からわかっててはいても悲劇のクライマックスでは緊迫感が走り
じ〜んときてしまいました。


実際の楽団員たちの物語は別にあるんでしょうが
最期まで演奏したようです。