酒井隆司 生活の道具

良質の労働が良質の社会を形成する。信州松本で家具と生活用具を作っています。

木杓子

ここのところ久しぶりに杓子を作っていました。
作るきっかけは図書館で借りてきた本に載っていて



これに近い写真で土鍋のそばに裏返してほぼ全体が写っていました。
そのフォルムに魅せられました。
最初は栗で匙の大きさは9cmの物をしばらく作っていましたが
前回から2、3年前くらいでしょうか少し小さい7.5cm、材は朴で作っています。


ところで昔TVで姫田忠義の作った映像が放送されたことがありましたが
今ネットで調べても映像はなかなか出てきません。
一つ見つけました。


http://www.facebook.com/1589550734592252/videos/1650780715135920/


非常に面白いです。
ことに男たちが山で木を倒しお椀の原型を家に持ち帰り
あとは奥さんというのかおばちゃんたちがそれを足で挟み、さらに回しながら
はつっていく姿は見ているだけでちょっとビビります。


ここには杓子は出てきませんが僕は共通したものを感じます。
プリミティブだなと。
もともと電気、機械の類のない時代なのでもちろん重労働に違いはないのですが
それだけに理にかなった作り方だと思います。
生木を使い、割りながら削りながらと驚くほど素早く作られていくようです。


http://www.forest.ac.jp/academy-archives/ladle_making_workshop/



なのですが僕はそういう伝統的な作り方ではなく
乾燥材をバンドソーで木取りして鉋などで仕上げていきます。


こういったものは丹念にじっくり芸術家のように魂を込めながら(?)ではなく
まさにサクサクと作っていって初めてできる形だと思います。
あっ、でも奥会津木地師たちの映像を見ると魂がこもっていますかね。
僕がたまに作るのではとてもその領域に達せませんが。