酒井隆司 生活の道具

良質の労働が良質の社会を形成する。信州松本で家具と生活用具を作っています。

卓袱台 無塗装鉋仕上げ 

去年の9月に卓袱台を探されてた方がインターネットで僕の卓袱台を見つけて
現物を見られないかということで秋にご夫婦で来られました。
その後、何度かメールのやり取りをして年明けに80cmの栗の卓袱台を決めて頂き
3月に第一子が生まれるのでそれにあわせてほしいとの注文でした。


先日、赤ちゃんは無事生まれて新しい生活の始まりにこの卓袱台も誕生したといえるのかもしれません。
生まれて来る無垢な子どものイメージを重ねて無塗装でとの注文、何だか素敵で、こちらもうれしくなりました。


通常は仕上げ鉋の後で木地調整のためにサンドペパーをかけます。
#180〜#240あるいは、さらに#360〜#400くらいまででしょうか。
着色したり漆の場合は#240くらいまでのほうが色乗りがいいかもしれません。
そしてオイルで仕上げる場合はさらに細かい耐水ペーパーで油研ぎをしていきます。


木地調整、塗装のためのサンディングではありますが
実際、鉋だけではテーブルのような広い面積、あるいはカーブしているようなところは
樹種やその木のクセもあって逆目が残ったり鉋が引ききられずに跡が残ったりと苦労します。
そういう時にサンディング、ペーパーがけはそういったいわばアラを解消してくれる。
程度にもよりますがペーパーがけに頼れば鉋がけが上達しないともいえます。
今回は無塗装なので一切ペーパーがけはしていません。
なのでモチベーションはグッと上がりましたね。


またテーブルの無塗装というのはやはり何かをこぼしたりして滲みが気になるところです。
同業の友人は早くから鉋仕上げ、無塗装で作っていますが特に問題はないようです。
オイルの場合は木も変色しますがオイルも変色するのでその焼けかた、永年変化が異なるようです。


栗の杓子も作っていますが最初の頃は荏油を塗っていましたが最近は無塗装です。
両者を比べると荏油のほうは黄変し無塗装の方は褐色に変化しています。
質感も無塗装の方がさらっとしています。
考えてみれば炒め物はそれこそ醤油やウスターソース、トマトソース等と何にでも無塗装の杓子で混ぜて使う訳ですが
別にまだらになったりとかはしません。混ぜ合わせる部分と柄の部分に差ができるわけでもありません。
とはいえテーブルと杓子を同じにしてはいけないかもしれませんが。
本当は実際自分でも無塗装のテーブルを使ってみるのが一番なんですがね。



まぁそんな訳で卓袱台は無事に届きましたとメールがありました。
喜んで頂けたようなのでよかったです。