酒井隆司 生活の道具

良質の労働が良質の社会を形成する。信州松本で家具と生活用具を作っています。

ミレニアム1〜3/スティーグ・ラーソン


スティーグ・ラーソンはジャーナリズムの世界に身を置いてきた人で
本編で作家デビューしたとは思えない見事な作品でした。
出版を前に心筋梗塞で亡くなっています。
伝説の人物になってしまったという事でしょうか。


なかなか興味深い作品でもあります。
彼は女性に対する暴力や人種差別、反極右の立場、活動を自らの仕事を通じて
実践して来たようです。
18才からのパートナー(結婚はせず)との協同的な構想もあったようで
主人公の一人であるミカエルは当然S・ラーソンと重なりますし
実際のスウェーデンの政治的、社会的な事件も本編に直接関係はしないものの挿入されています。


もちろんリスベット(こそ)はもう一人の主人公で基軸になっています。
気になっていたミカエルとの恋の行方は途中で彼を拒絶しましたが(喧嘩別れをしたわけでなく)
最後はベーグル片手に訪れたミカエルを部屋に招き入れるラストでした。
まぁ相手がミカエルですからどうなるかは予測不能ですね。


ただこの3は上巻の最後のあたりから味方側が盤石になってゆき
敵側は盗聴、証人の暗殺までくらいでその後はお粗末。
クライマックスの法廷でも然りでした。
激しい応酬というよりワンサイドな感が否めません。
予定通り。やはり盤石でした。

とはいっても3部作6巻延べ6週間楽しませてもらえました。